1. HOME
  2. ブログ
  3. 実務コラム
  4. 「無資格教員」報道から考える――認定日本語教育機関で重要になる教員配置と授業運営の管理
実務コラム

Legal Insights

実務コラム

「無資格教員」報道から考える――認定日本語教育機関で重要になる教員配置と授業運営の管理

2026年8月22日、朝日新聞は、愛知県内の日本語学校について、教員要件を満たさない、又は要件を確認できない者が授業を担当していたとして、名古屋出入国在留管理局から改善指導を受けていたことを報じました。

報道によれば、問題となった者が担当した授業は全体の4分の1を超えていたほか、入管に届け出られていた有資格教員についても、実際の勤務や授業担当の状況に疑義があったとされています。

当事務所では以前、実際には勤務していない、あるいは実質的に職務を担っていない者を形式上配置する問題について、実務ブログで取り上げました。

今回の報道は、この「名義貸し」の問題とも関係しますが、さらに別の重要な問題を示しています。

それは、必要な教員を確保するだけでなく、その資格と実際の授業担当を継続的に管理できる体制になっているかという問題です。

教員は「必要人数がそろっていればよい」わけではない

認定日本語教育機関には、収容定員に応じた教員数や本務等教員数などの基準があります。

しかし、必要人数を申請書上確保していれば、それだけで安定して教育課程を実施できるとは限りません。

実際の学校運営では、例えば次のような事情が生じます。

  • 教員の退職
  • 病気や家庭事情などによる急な欠勤
  • 非常勤教員の勤務日の変更
  • 他校との兼務
  • クラス増減に伴う担当変更

その際、人手が足りないからといって、資格要件を満たしていることを確認していない者を一時的に授業に入れてしまえば、問題となり得ます。

したがって、申請段階から考えておくべきなのは、単なる教員の「人数」だけではなく、実際の時間割を継続して運営できるだけの人的体制があるかという点です。

資格確認と授業担当をどう管理するか

今回のような問題を防ぐためには、新しく採用した教員や代講者について、次のような点を適切に管理する必要があります。

  • 教員として必要な要件を満たしているか
  • 誰がその要件を確認するのか
  • 確認が終わる前に授業を担当することがないか
  • 実際の担当授業が時間割や担当表に反映されているか

ここで注意したいのは、認定制度が一律に特定の「職務分掌表」や「資格確認規程」の作成を義務付けているわけではないという点です。

学校の規模や組織形態に応じて、適切な管理方法は異なり得ます。

一方で、認定審査では、校長や主任教員などに求められる役割や、教職員の配置・分掌を含む管理体制が適切に機能するかが確認されます。

そのため、重要なのは文書の名称や数ではなく、誰が何を確認し、誰が判断し、その結果が実際の授業運営に反映されるのかが明確になっていることです。

欠員が生じたときに体制の実力が表れる

学校運営では、予定どおりにいかないこともあります。

そのため、例えば次のような場面まで考えておく必要があります。

  • 教員が急に来られなくなった場合、誰が代講するのか
  • 代講できる教員がいない場合、どうするのか
  • 新しい教員を採用した場合、誰が資格を確認してから授業担当を決めるのか

教員数が基準ぎりぎりで、1人欠けただけで授業が成立しなくなる体制であれば、書類上は基準を満たしていても、実際の運営では不安定になり得ます。

認定申請では、教育課程そのものだけでなく、その教育課程を現実に継続して実施できる人的体制になっているかを確認することが重要です。

「名義貸し」と今回の問題はどう違うのか

以前のコラムで取り上げた「名義貸し」は、資格や経験を有する者を形式上配置しながら、実際にはその者が十分に職務を果たしていないという問題でした。

今回の報道には、それと重なる部分があります。

しかし、もう一つ重要なのは、当初は適切な教員体制を整えていたとしても、その後の退職、欠勤、人手不足などによって、実際の授業運営が基準から外れていく可能性があるという点です。

つまり、

  • 申請時に適切な人をそろえること
  • 認定後もその体制を維持すること

は、別の問題として考える必要があります。

認定日本語教育機関として安定した運営を続けるためには、後者まで見据えて体制を作る必要があります。

今回の報道で認定基準が変わったわけではない

なお、2026年8月28日現在、今回の報道を受けて認定日本語教育機関の認定基準や審査方法が変更されたという公表は確認されていません。

したがって、「この報道によって認定審査が厳しくなった」と断定することは適切ではありません。

もっとも、今回の事案は、教員名簿や届出上の体制だけでは、実際の授業実施状況を十分に把握できない場合があることを示しています。

今後の認定審査や認定後の運営を考える上でも、教員名簿、雇用関係、時間割、授業担当、実際の勤務状況が一致していることの重要性は、改めて意識しておく必要があるでしょう。

認定申請に際しては、「基準上、何人の教員が必要か」だけではなく、

「その教員体制で、予定している教育課程を
無理なく継続して運営できるか」

まで確認しておくことが重要です。

持続可能な「学校運営体制」の構築をご検討の機関様へ

書類上の要件を満たすことと、日々の不測の事態(欠勤や退職)に対応しながら適法に学校を運営し続けることは別次元の課題です。

当事務所では、日本語教育現場のリアルな運用実態をふまえ、「誰が・いつ・どのように確認と配置を行うか」という無理のない管理体制(ルール)の構築から認定申請までを総合的にサポートいたします。教員配置や運営管理に不安をお持ちの機関様は、ぜひ一度ご相談ください。

教員配置・管理体制について相談する

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

カテゴリー
目次